AI翻訳の進化によって、翻訳者の働き方は大きく変わり始めています。
これまで翻訳者の資産といえば
- 翻訳メモリ(TM)
- 用語集
- 専門知識
でした。
しかしAI時代には、新しい翻訳資産が重要になります。
それが Codex(コデックス) です。
この記事では、
- Codexとは何か
- TMとの違い
- なぜAI時代の翻訳者の資産になるのか
を、現役特許翻訳者の視点から解説します。
Codexとは何か
Codexとは、
翻訳パターンを蓄積したデータベース
のことです。
例えば特許翻訳では、次のような表現が頻繁に出てきます。
例
is configured to
→ ~するように構成されている
is provided with
→ ~を備える
in response to
→ ~に応答して
こうした
頻出構文・翻訳パターン
を1つずつデータベース化したものが
Codexです。
Codexのイメージ
例えば以下のような形です。
| English | Japanese | Notes |
|---|---|---|
| is configured to | ~するように構成されている | 特許定型表現 |
| is coupled to | ~に接続される | 回路系 |
| is provided with | ~を備える | 汎用表現 |
このような形で
1エントリー1構文
で蓄積していきます。
特許翻訳では、数百〜数千のパターンが存在します。
TM(翻訳メモリ)との違い
翻訳メモリ(TM)も翻訳資産ですが、
Codexとは性質が違います。
| TM | Codex | |
|---|---|---|
| 単位 | 文 | 構文 |
| 再利用性 | 同じ文章のみ | 応用できる |
| AIとの相性 | 普通 | 非常に良い |
TMは
完全一致
に近い形で使われます。
一方Codexは
翻訳のパターン
なので
様々な文章に応用できます。
AI翻訳とCodex
AI翻訳の時代になると、翻訳者の役割は
ゼロから訳すこと
ではなく
AI翻訳を最適化すること
になります。
その時に重要になるのが
- 用語集
- 技術知識
- Codex
です。
例えば
AIに対して
- 用語
- 翻訳パターン
を与えると、
翻訳品質は大きく改善します。
Codex × RAG翻訳
さらに最近は
RAG(Retrieval Augmented Generation)
という技術があります。
これは
AIが外部データベースを参照して回答する仕組みです。
つまり
Codexをデータベース化すれば
AIは
- 翻訳パターン
- 用語
- 技術知識
を参照しながら翻訳できるようになります。
Codexは翻訳者の資産になる
AI時代の翻訳者の資産は
次のように変化していく可能性があります。
従来
翻訳メモリ
↓
翻訳者の資産
AI時代
Codex
↓
翻訳者の資産
つまり
翻訳者のノウハウをデータ化すること
が重要になります。
Codexの蓄積はどれくらい必要?
目安としては
- 100 → 翻訳がかなり楽になる
- 300 → 翻訳パターンがかなり揃う
- 1000 → 翻訳の大部分をカバー
と言われています。
特許翻訳では
数百〜数千のパターン
が存在します。
Codexを蓄積することで
翻訳速度は大きく向上します。
Codexという概念について
私は
翻訳パターンをデータベース化するという考え方
を
「Codex」
と呼び、発信しています。
AI時代の翻訳者にとって
Codexは
- 用語集
- 翻訳メモリ
と並ぶ
新しい翻訳資産
になる可能性があります。
まとめ
AI時代の翻訳者にとって重要なのは
知識のデータ化
です。
その中でもCodexは
- 翻訳パターン
- 構文
- 表現
を蓄積する仕組みとして
今後重要になる可能性があります。
翻訳者の資産は
TMからCodexへ
移行していくかもしれません。

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